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有栖川有栖「論理爆弾」

空閑純(そらしずじゅん)を主人公にした「真夜中の探偵」に続く第3弾。

前回までを軽くおさらい

召和20年、無条件降伏を受け入れた日本。その後、北海道は日本から独立し、日ノ本共和国(北)と名乗ることに。

そして現在、日本と北は停戦中ではあるが、終戦には至っておらず、日本では「私的探偵行為」が警察類似行為とみなされ法律で禁止されている。

主人公・空閑純(ソラ)は、探偵の両親に育てられるも、数年前に母親が事件の調査中に行方不明になり、父・誠と二人で奥多岐野の田舎で暮らしていた。

しかしその父親もかつて「調律師」という名の探偵であることが明るみになり逮捕されてしまう。

一人残されたソラは奥多岐野を出て大阪で母親の手がかりを追う。そしてそこで事件が起き、ソラは探偵としての第一歩を踏み出すのだった。

あらすじ

母親の足跡を追って九州の山奥にある深影村までやってきたソラ。

そして偶然にも中央警察の明神警視も、北のスパイの情報があったため、ソラが滞在している近隣の村へとやってくる。

そんなことなど知らないソラは、母親が最後に訪れたという友淵家を訪ねることに。

しかしその後、テロによる爆発が起き、深影村へと通じる唯一のトンネルが塞がれ陸の孤島となってしまう。

そして連続殺人事件が発生し・・・

感想(ネタバレも含みます)

今回は、テロによる爆発、日本で暗躍する北のスパイ・火熊(8人の精鋭部隊)の登場など、小説内での日本の設定にも一歩踏み込んだ展開。

一方でソラは、母親の手がかりを追って深影村までやってきたけれど、残念ながら母が訪ねたという友淵家の長男・隆一は自殺しており、二人がどんな話をしたのかを知るすべはなし。

そしてテロが起きたせいで、村に通じる唯一のトンネルが塞がれてしまう。

密室となった村、そこで起きた連続殺人事件。

動機や共通点を探ろうとするソラだったけれど、なにも見つからない。

だけどそれもそのはず、犯人の目的は殺人そのもので殺人罪で死刑になるのが目的だったから。

しかもソラが犯人に気付いたタイミングは最悪。それは彼と二人きりで逃げ場のない車の中、彼の失言によって彼が犯人だということに気付くという間の悪さ。

間違いなく絶体絶命だった。

けれどそれも思わぬ形で救われる。

全てを読み終えてみると、序章から始まって伏線は見事に回収されていた。きれいすぎるくらいに。

前作の「真夜中の探偵」では、トリックを見抜き犯人にたどり着いたソラだったけれど、今回は完全に完敗。探偵見習いとしては良い教訓となっただろうし、忘れられない事件になったはず。

それになんといってもまだ17歳。

友達の景似子と由之(ガンジス)にも会いたいだろうに我慢しなくちゃいけないなんて切なすぎる。

その代わりといってはなんだけれど、携帯にはワトソンという名前を付けてるんだよね。本人は子供じみていると思っているようだけれど、別にいいじゃない、って言ってあげたくなる。

母親を捜す冒険はまだまだ続くんだから、いつでも気兼ねなく名前を呼べる相手がいたほうが心強い。

でも読者だけが知っている、母親は北にいるんだよ。そう思うとソラの冒険がとてつもなく果てしない。

それでも前だけを向いて進んでいくソラの姿が想像できる。

そう思うと、いつか景似子とガンジスにも会うことができたらいいなぁと思わずにはいられない。

もう少しソラの成長を見ていたいと思う作品でした。